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サプライチェーン

 

[図]働き方

環境・倫理・人権等のCSR基盤を
サプライチェーン全体にわたり強化する

※このページはサステナビリティレポート2018の記事内容です。

SVP2030で目指すもの

[画像]社会課題

SDGsへの貢献

[図]SVP2030 重点課題の位置付け 働き方

CSR基盤をサプライチェーン全体にわたり強化する

映画や写真のフィルムの製造から始まった富士フイルムグループは、ヘルスケア関連事業を含め、今や多種多様な15事業を抱える企業へと成長しました。それに伴い生産関連資材の種類も増加、サプライチェーンも非常に多岐にわたっています。富士フイルムグループは、企業の持つ社会的責任や企業倫理の重要性を認識し、社会の持続的発展への貢献を目指してCSR活動を推進していますが、その実現は当社グループだけの力では不可能であり、サプライチェーン全体で取り組む必要があります。特に当社グループの製品製造に携わるお取引先にCSR経営の重要性をご理解いただき、共に課題解決への取り組みを進めることで、強固なCSR基盤を築いていきます。

目標と主な成果

2030年目標

SVP2030では、環境、倫理、人権等、すべての企業活動の基盤となるCSR項目について、改めて重要な課題として位置づけています。調達においても「富士フイルムグループ 調達方針」を掲げ、お取引先と連携しながら活動を強化・推進することで、持続可能な調達の実現に向けてより強固なサプライチェーンの構築に取り組んでいきます。また、富士フイルムグループ「生物多様性の保全に関する基本認識と行動指針(略称「生物多様性方針」)」(2009年6月制定)に基づき、私たち人類が享受している生態系からの様々な恩恵を将来に向けて存続させるため、生物多様性の維持・保全にも努めています。

人権声明

生物多様性方針

2017年度の活動

【目標】持続可能な調達の推進

  • 北米での包括的なサプライチェーン管理システムの導入、及びお取引先への調査開始(富士フイルム)
  • お取引先トラブル起因のラインストップゼロの達成⇒FXシンセン【3年連続】、FXハイフォン【2年連続】(富士ゼロックス)
  • 紛争鉱物来歴調査回収率100%(顧客要請が高いドキュメント事業において)

【目標】生物多様性に関わる法規制への対応

  • 社内規則に基づき、製品設計段階から生物資源調達に関するリスクアセスメントを実施継続(2010年2月より)
  • 経済産業省「名古屋議定書対応タスクフォース委員会」に参画、最新の法規制動向を収集(2014年度より継続参画)
  • 重要商材の「用紙」調達について、社内規程・ガイドラインに基づくリスクマネジメントを実施継続(2012年より)

生物多様性への取り組み

今後の活動&目標

  • CSR調達活動の欧州地域への拡大(FF)
  • 紛争鉱物来歴調査の回収率95%以上の維持、さらなるデータ精度の向上(顧客要請が高いドキュメント事業において)(FX)
  • 人権の潜在リスクについてより包括的な影響評価の実施と予防・軽減策の強化
  • 2017年度活動の継続による、調達に対する生物多様性リスクマネジメントの徹底継続・強化
  • 自然資本プロトコル(*)に沿った取り組みの検討

* 自然資本プロトコル:自然資本連合(NCC)がまとめた、自然資本への影響や依存度を計測・価値評価し、意思決定や戦略につなげるための標準化した枠組み。2016年7月に初版発行

重点項目

CSR調達活動の強化

富士フイルムグループでは、調達におけるグループの共通理念として、「富士フイルムグループ 調達方針」や「お取引先へのお願い」を明示し、特に当社グループの製品製造に携わるお取引先にCSR経営の重要性を理解していただき、共に課題解決に取り組んでいくことが重要と考えています。

海外生産比率が90%と高く、早くからCSRへの取り組み要請が強かった電子電機業界に属する富士ゼロックスでは、2007年からグループの中でも重点的にCSR調達の活動を開始、お取引先におけるCSRの取り組み(環境、人権・労働、企業倫理)についてお取引先との相互合意評価の仕組みを導入しています。相互合意評価は、お取引先との間でお互いの評価に相違のある項目について話し合い、評価点を合意する制度で、お取引先に評価に対する納得度を高めてもらうことを目的としています。生産資材のお取引先から始めたこの活動は、その後順次、物流や間接資材のお取引先にも対象を拡大しています。富士フイルムにおいても、2009年から一部のお取引先に自己評価を開始し、その後、各事業部の調達金額の80%をカバーするお取引先へと順次対象を拡大してきました。

2017年度は、調査対象地域を従来の日本と中国から拡大し、北米拠点の調達先に対しても調査を開始しました。北米では活動開始に合わせ、労働安全衛生や労働環境、BCPなどの項目に加え、従来から管理してきたREACHやRoHSなど、化学物質に関わる法規制への対応や、紛争鉱物を含む鉱物に関する情報なども包括的に管理できるシステムを導入し、北米拠点の90%のお取引先に対して調査を実施しました。2017年度末までに72%の回答を回収、調査結果についての分析・お取引先との協議を進めています。2018年度は、欧州地域における生産資材のお取引先に調査を拡大する予定です。

これらの調査に使用するチェックリストは、国連グローバルコンパクトやRBA(*)などのCSR規範、社外有識者の意見等を参考に作成しました。チェックリストは法規制や社会要請の動向に応じて適宜見直すとともに、調査結果を受けて、必要に応じてお取引先への改善要請や改善支援なども行っています。なお、生産資材分野のお取引先調査における最重要項目の適合率90%以上の社数比は、99%(富士フイルム)、96%(富士ゼロックス)となっています。

また、お取引先には当社グループの調達理念とともに、CSR推進が結果的にサプライチェーンの競争力強化につながることもご理解いただけるよう、説明会や意見交換会なども実施しています。2017年度も、富士フイルムでは引き続き生産資材のお取引先への説明会を実施。これまでのお取引先の累計ご参加社数は、約400社となっています。

さらに富士ゼロックスでは、生産資材の供給停止リスクの比較的高い地域において、お取引先での自己評価に加え、調達担当者や人事・環境などの専門スタッフがお取引先を訪問し、より細かくCSRリスクを把握し、改善のアドバイスや活動を支援する取り組みも進めています。2017年度は、ベトナム工場のお取引先に対する訪問確認を開始しましたが、2018年度はこの取り組みを韓国にも拡大するほか、富士フイルムの中国工場でのお取引先への訪問の準備も進めていきます。

* RBA:責任ある企業同盟(Responsible Business Alliance)

富士フイルムグループのサプライチェーンマネジメント

紛争鉱物への対応

近年、コンゴ民主共和国及び周辺9カ国をはじめとする鉱物資源の採掘が、人権侵害、環境破壊等を引き起こすとともに、武装勢力の資金源となる可能性があることが懸念されています。

富士フイルムグループは、不法に採掘、処理された鉱物の使用、及びそのような不法な活動を直接的、間接的に利するような行為には加担しないことを宣言するとともに、調達の基本方針において、紛争鉱物問題に真摯に対応することを明言しています。

また、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)(*1)の「責任ある鉱物調達検討会」に参加し、サプライチェーンを通じて人権侵害などに加担しないための合理的かつ効果的な施策を他社と共に検討しています。お客様からの要望が強い業界に関係する事業部、グループ会社とともに、お取引先に対し説明会を開催、紛争鉱物対応への理解を求めるとともに、お取引先のご協力を得て、継続的に情報入手と情報精度向上に努めています。

なかでも顧客企業の要請が強い電子電機業界に属する富士ゼロックスでは、サプライチェーンにおける武装勢力の介在有無を明らかにするため、2013年からグループとして重点的に鉱物来歴調査を行っています。

2017年度の調査では、お取引先から調査票の回収率が100%となり、紛争フリー認証取得精錬所比率(*2)は46.2%で前年から6.2ポイントアップしました。また武装勢力の介在を示す情報はありませんでした。2018年度も調査票の回収率95%以上の維持を目標とし、さらなるデータ精度の向上を目指します。

今後は、お取引先にRBAなどが認証する紛争フリー精錬所の使用を呼びかけるとともに、様々なステークホルダーの皆様と連携し、より責任ある鉱物調達に向けた取り組みを推進していきます。

*1 JEITA:一般社団法人電子情報技術産業協会。電子機器、電子部品の健全な生産、貿易及び消費の増進を図り、経済の発展と文化の興隆に寄与することを目的とした業界団体

*2 紛争フリー認証取得精錬所比率:当社のサプライチェーンにおいて特定した精錬所のうち、RBAなどによる紛争フリーの認証を取得している精錬所の比率

人権の尊重

富士フイルムグループは、「基本的人権の尊重」を果たすべき概念として認識し、「富士フイルムグループ企業行動憲章・行動規範」にうたい、定期的な研修会で徹底を図っています。

2012年から、経済人コー円卓会議主催の「ステークホルダー・エンゲージメント・プログラム(SHE)」に参加し、同プログラム内で業界ごとに検討した人権課題(*1)を参考に、 2015年から当社グループの人権課題の抽出と対応について検討してきました(*2)。そして昨今の英国「現代奴隷法」や米国カリフォルニア州「サプライチェーン透明法」等、人権課題の法規制の広がりや、2016年度の国際人権NGOとの対話を受け、「サプライチェーン及び、当社グループの従業員」の潜在的な人権課題の抽出と対応が最優先ととらえ、社外と協業する「CSR調達」と、グループ内でのCSR推進と2つの側面の活動を進めてきました。

これまで日本・中国・米国でのCSR調達活動及び、グループ内での監査を進めてきましたが、その他の地域への活動拡大、問題発覚時に向けた対応策についての事前検討、社内での人権課題のさらなる意識浸透のためには、会社として「行動憲章・行動規範」だけでなく、人権尊重に関する独立した方針を社内外に明示する必要があると考え、2018年6月に社長を委員長とするCSR委員会での承認の上、「人権声明」を制定しました。「人権声明」の制定に際しては、国内外グループ会社や社外ステークホルダーの皆様から様々なご意見・アドバイスをいただきましたが、このプロセスはCSR部門のみならず、人事など当社関係部門の担当者にとっても、人権問題に関する新たな気付きを得るきっかけとなりました。

ステークホルダーコミュニケーション

「人権声明」では人権尊重がすべての事業活動の基盤であることを宣言するとともに、人権侵害防止に向けた活動を推進するにあたっての基本姿勢を明示しています。今後は、「人権声明」の社内外の周知・浸透を通じて、社内で人権課題の重要性に関して意識向上を図るとともに、事業分野ごとに検討している人権の潜在リスクについて、お取引先と連携し、より包括的な影響評価の実施と予防・軽減策の強化に取り組んでいきます。また他社との検討や、外部意見を積極的に取り入れる活動も継続し、社会要請の動向をグループ内に展開し、啓発を続けていきます。

なお、当社グループの従業員は、社員行動規範に対する違反や権利侵害が懸念される場合には、コンプライアンス・ヘルプラインなどの内部通報制度を活用し、是正・救済を求めることができます。一方、社外ステークホルダーの皆様からは、グループ全体として「CSRに関するお問い合わせ」窓口を設置し、人権課題を含む当社の活動に対するご意見を幅広く取り入れられる体制も整えています。

*1 業界ごとに重要な人権課題(第6版):UNEP FI(国連環境計画金融イニシアティブ)策定の「人権ガイダンスツール」を参考に同コンソーシアムで策定

*2 「人権デューディリジェンスのプロセス」図、「富士フイルムグループにおける潜在的な人権課題」図

人権デューディリジェンスのプロセス

[図]人権デューディリジェンスのプロセス

化学・建築材料業において重要と考える人権課題

[図]化学・建築材料業において重要と考える人権課題

富士フイルムグループにおける潜在的な人権課題

[図]富士フイルムグループにおける潜在的な人権課題

生物多様性の保全

富士フイルムグループは、創業より、写真フィルムの製造に多くの水ときれいな空気を必要としていたことから、「環境配慮・環境保全は、企業の根幹を成す」という考え方に基づき、様々な環境保全活動にいち早く取り組み、生物多様性の維持・保全にも努めています。2009年には、富士フイルムグループ「生物多様性の保全に関する基本認識と行動指針(「生物多様性方針」)」を制定しました。2012年にはそれまでの生物多様性に関係する活動全体を「事業場」「製品」「社会貢献」「コミュニケーション」の4つの軸で整理・体系化した上で、グループの各事業と関連づけ、また各地域の状況に合わせて、種々取り組みを着実に進めています。

生物多様性保全の取組み(全体像)

「製品」軸での「調達における生物多様性」に関する主な取り組みは、製品開発における「生物資源調達でのリスクアセスメント」、「名古屋議定書への確実な対応」、重要な商材である「用紙調達でのリスクマネジメント」の3つです。「生物資源調達でのリスクアセスメント」については、長期的視点からの生物資源の持続的供給を確認するリスク評価を、 2010年に環境配慮設計の仕組みに組み込み、製品設計段階から「生物多様性」にも配慮した製品づくりに取り組んでいます。「遺伝資源へのアクセスとその利用から得られる利益配分(ABS :Access and Benefit-Sharing)」に関する「名古屋議定書」に対しては、生物資源の調達リスクととらえ、経済産業省のタスクフォース委員会に2014年度から継続参画し、海外での法制化動向など最新情報の収集に努めています。2017年度は日本の国内措置を早期に入手してグループ内に周知し、確実な法規制対応を図りました。

また、ドキュメント事業における重要商材の「用紙」については、「地域住民の権利保護」と「企業倫理」に加えて、「保護価値の高い森林の保護」や「森林生態系への配慮」を調達基準に定めています。この基準に基づき、富士ゼロックスでは2012年より現地監査や経営層を議長とする会議体で活動の確認を行い、森林資源の持続性や地域社会との調和に配慮した用紙の安定調達を継続しています。国内外関連企業や調達先企業を巻き込んだ取り組みが評価され、2017年度「グリーン市場拡大のためのグリーン購入大賞(第18回)」優秀賞(グリーン購入ネットワーク主催)を受賞しました。さらに、「森林資源の持続可能な管理を保証する森林認証制度」を支持する「SDGsとFSC®認証に関するバンクーバー宣言」にも参加しました。今後は、自然資本プロトコルに沿った取り組みも進めていきます。

[図]生物多様性保全のための主な活動

※このページはサステナビリティレポート2018の記事内容です。


   
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