健康
※このページはサステナビリティレポート2015の記事内容です。
<トピックス1> 世界のパブリックヘルスの課題解決を目指しエボラ出血熱の迅速診断システム研究の事例
2014年、西アフリカを中心に急激に被害が拡大したエボラ出血熱は、アフリカ大陸以外の欧米での発生が初めて確認され、感染防止は国際社会の大きな課題となっています。今後大規模感染を阻止していくためには、治療薬やワクチンの早期実用化に加えて、感染者を初期段階で発見し、感染経路を遮断する初動対策が重要とされています。
富士フイルムは、写真の現像プロセスで用いる独自の銀塩増幅技術を応用し、発症初期のわずかな量のインフルエンザウイルスでも検出を可能にした診断システムを2011年から販売開始。簡単操作で3分半〜15分の短時間で結果が得られ、機械による誤差のない自動判定などが評価され、医療機関への導入が進んでいます。この技術はインフルエンザ以外にも応用可能であり、富士フイルムは世界の様々な感染症の早期発見につなげていく考えです。
その一つとして、2015年2月、フランスの感染症・微生物学分野の最先端の公的研究機関であるバイオアスター※と、エボラ出血熱の迅速診断システムに関する共同研究契約を締結。産官共同の国際プロジェクトとして、フランスの公的研究機関の協力も得て研究を開始しました。現在のエボラ出血熱検査の方法は、限られた場所と技術者のみが対応可能で、しかも数時間かかるために、安全性や迅速性に大きな課題があります。そのため感染の疑いが報告された場所で検査ができるような簡便、迅速、小型で可搬性に優れた診断システムの技術を確立することを目標としています。
またグループ会社の富山化学工業が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」について、2015年2月、フランス国立保健衛生研究機構(Inserm)がギニアで実施していたエボラ出血熱に対する臨床試験で有効性が示唆されるとの中間解析結果を発表しました。エボラ出血熱の治療法確立に向けても、フランス政府やギニア政府、日本の関連当局に全面的に協力していきます。
今後も富士フイルムは、世界のパブリックヘルス(公衆衛生)の課題解決という同じ目標を持って活動する様々な関係機関と協力し、富士フイルムグループのヘルスケア事業の中の診断と治療領域で総力をあげて取り組んでいきます。
※バイオアスター(BIOASTER):フランスのリヨン市にある感染症分野の産業クラスターであるLyon Biopole(リヨン バイオポール)や感染症の世界的研究機関として知られるパスツール研究所、フランス国立保健医学研究機構INSERM(インサーム)などのフランスの研究機関から資金提供を受けて感染症、微生物学の研究を行っている公的研究機関
高感度検出技術
従来はウイルスに目印となる金コロイド抗体を結合させ判定を行っていたが、その目印に銀を吸着させて、さらに大きくする高感度検出技術を開発。直径約50nmの金コロイドの周りに銀が増え、数十秒で直径約100倍に膨れあがるため、ウイルスが微量でも発見しやすい
- 健康:基本的な考え方
- <トピックス1>
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