環境:事業を通じた社会課題の解決
※このページはサステナビリティレポート2014の記事内容です。
<事例1> 写真フィルムで培った技術を生かし環境課題解決を目指す材料を開発
富士フイルムは創業以来、写真フィルム分野で培った基盤技術や独自の差別化技術を組み合わせ、新規の高機能材料を次々に創出。技術力を結集し、深刻な地球環境問題を解決する製品の開発に取り組んでいます。
太陽電池の耐久性を3倍高める「太陽電池用バックシート」
太陽電池は屋外に設置されるため、高熱や紫外線、風雨などによって劣化し、発電効率を落とすケースがあります。太陽電池用バックシートは、太陽電池の裏側に使用され、保護するもので、太陽電池の寿命に関係する重要な部材です。そのため、長期間劣化しない高い耐久性が求められます。富士フイルムは、写真フィルムの製膜技術(*1)などを応用し、水に強い特殊なPETフィルムを開発、これをベースにすることで高い耐久性を実現。さらに精密塗布技術により機能性材料を塗布することで、従来品よりも3倍程度まで耐久性を高めた製品を開発しました。この太陽電池用バックシートは2012年より販売を開始、地球温暖化問題やエネルギー問題を背景にますます需要が拡大する太陽電池の普及に貢献していきます。
*1 耐加水分解PET製膜技術:耐加水分解性能をよくするため、特殊なPET樹脂を重合。分解させることなく製膜するための独自技術を開発
当社塗布型バックシート
貼り合わせ型従来バックシート
効率的な水利用をサポートする「イオン交換膜」
海水の淡水化や排水処理など、環境面での利用分野が拡大すると予想されるイオン交換膜の開発を行っています。イオン交換膜とはイオンを選択透過させる膜で、イオンの選択透過性を利用して、硬水を軟水化したり、海水からの製塩、超純水などの製造に使われます。硬水が標準の欧米などでは、飲料用軟水器にも使用されています。イオン交換にはイオンを吸着させて交換するイオン樹脂も使われていますが、定期的に薬剤や塩による樹脂の再生作業あるいは交換が必要なため、メンテナンス・コスト面に優れたイオン交換膜の需要が高まりつつあるのです。水問題への対策の一つとして、開発を推進しています。
イオン交換膜には陽イオンを通す陽イオン交換膜と陰イオンを通す陰イオン交換膜があり、これを組み合わせて使用する
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