【重点課題3】CSR視点でのバリューチェーン・マネジメントの強化
※このページはサステナビリティレポート2016の記事内容です。
基本的な考え方
富士フイルムで実施したお取引先説明会
富士フイルムグループでは、企業のもつ社会的責任や企業倫理の重要性を認識し、調達においてもCSRに配慮した「富士フイルムグループ 調達方針」を掲げ、その実現に努めています。
グループとして、事業活動を通じてお取引先とともに発展していくことを目指し、公平で公正な取り引きを実践するとともに、特にサプライチェーンにおけるCSR推進の重要性について、お取引先にもご理解いただくことでパートナーシップを強化しつつ、さらなるCSRの向上に努めています。
目標
- (1) 重点調達先のCSR実態把握および当社からの期待周知、改善要請
(2) 調達における生物多様性に関する法制化へ確実に対応
2015年度の活動
トピックス
調達関連情報の一元管理
調達BCPシステムとの連携により、災害時の迅速な経営判断を支援
富士ゼロックスは、主要取引先の事業所と結んだ電子商取引用の電子データ交換(EDI※)を機能強化すると同時に、自社開発した調達BCP(事業継続計画)システムと併用することで、調達関連情報をグローバルで一元管理する仕組みを稼動しました。
EDIの機能強化では、対象とする文書種類数を順次拡大し、各種問い合わせとその回答などの進捗管理機能も追加しています。さらにこうした内容に対し、富士ゼロックスの調達マネージャーや関連業務担当者が、適切なアクセス権管理の下で閲覧できる機能も追加。これにより、調達業務を組織的に管理できるようになり、富士ゼロックスの調達部門のみならず、取引先においても調達業務の管理強化・効率化が図れています。
一方、調達BCPシステムは、各種データベースを連携し、BCPの立案・遂行を支援するシステムとして構築、2012年から稼働。このシステムにより、リスク案件に関わる対応時間を大幅に短縮しています。
今回、EDIと調達BCPシステムを併用することにより、それぞれの生産拠点で行われている調達業務に関するすべての情報をタイムリーに一元管理するだけでなく、上記のような各種データベース情報と連携することで、調達業務の効率化と、災害など緊急時の対応強化を図っていきます。
※ED(I Electronic Data Interchange):複数の企業や団体などの間で、商取引のための各種情報(注文書や請求書等)を、お互いのコンピューターが通信回線(ネットワーク)を介してコンピューター同士で交換すること
お取引先と連携した品質向上への取り組み
高品質な製品供給環境の実現
信頼性の高い製品を常に市場に提供していくためには、お取引先との連携が欠かせません。富士膠片(中国)投資有限公司(FFCN)と蘇州富士膠片映像機器有限公司(FC)は、高品質な医療機器を安定して提供するため、バリューチェーン・マネジメントの一環として、中国国内のお取引先に対して、品質改善活動を共同で実施。お取引先の生産現場の状況を常に把握し、作業工程の見直しや手順書の作成など、様々なアドバイスを実施しています。お取引先との連携を強化し、安全面、品質面で安定して製品を供給できる環境をサポートすることで、よりお客様に信頼いただけるバリューチェーンを構築していきます。
作業工程の見直しなどにより、不具合の発生する確率が大幅に減少
OPINION 「CSR視点でのバリューチェーン・マネジメントの強化」への第三者意見
今後の「ビジネスと人権の指導原則」への取り組みに期待
・経済人コー円卓会議日本委員会メンバー
・立教大学 社会デザイン研究所研究員
松崎 稔 氏
プロフィール
企業のCSR担当者を経て、現職。企業在籍時はグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンでMDGs分科会の運営や、NGO JANIC主催の「NGOと企業のネットワーク会合」の企業側幹事等を担った。企業とNGO/NPOが議論する場としてニッポンCSRコンソーシアム(2012年より)を立ち上げ、その運営事務局を担う。
経済活動のグローバル化に伴い、バリューチェーンには負の側面が潜む可能性があります。企業活動の全域をしっかりとマネジメントすることは「社会からの要請」です。G7ドイツ、エルマウサミットの首脳宣言でも「責任あるサプライチェーンを推進」する方針が示され、「ビジネスと人権に関する指導原則」が強く支持されています。
富士フイルムグループでは、「CSR視点でのバリューチェーン・マネジメント強化」を重点課題として掲げ、グループ全体で各事業の特性に合わせた適切なPDCAサイクルを回し、その取り組みが年々着実に進んでいる様子がわかります。2015年度はサプライヤーでのチェックリストや、取引先への説明会の実施に加え、労働リスクの高い地域での「ラインストップのゼロ化」達成という着実な成果を上げたことは注目に値します。
サプライヤーとのパートナーシップを強化し、協業によって課題を克服していくという企業姿勢は、持続可能な事業運営を強固にするために欠かせないものです。
今後、活動をさらに推進していくために、「ビジネスと人権の指導原則」を、社内の規則・規範の中で見直し、定着を図られることを期待しています。
第三者意見を受けて
富士フイルムグループが掲げている重点課題の一つ、「CSR視点でのバリューチェーン・マネジメントの強化」の活動の進捗について評価してくださり、ありがとうございます。現在、富士フイルムグループは幅広い業界で事業活動を行っており、近年CSR調達への要請が高まっている電子業界をはじめとし、各業界、またそれぞれのお客様からのご要望に応えていけるよう、お取引先と連携し、バリューチェーン全体でのCSR活動の強化を図っています。ご指摘くださったように、サプライチェーンにおける人権課題への期待が高まっているため、今後、人権など社会課題全般についてお取引先と取り組むべく、特にグループ内において、CSR調達の重要性の認識を高め、活動の浸透、定着を図っていきます。
(富士フイルムホールディングス 経営企画部CSRグループ)