【重点課題1】グローバルなコンプライアンス意識の向上とリスクマネジメントの徹底
※このページはサステナビリティレポート2017の記事内容です。
基本的な考え方
企業行動憲章・行動規範冊子
富士フイルムグループは「コンプライアンス」を「法律に違反しないということだけでなく、常識や倫理に照らして、企業や個人が正しい行動を行うこと」と定義しています。組織に向けられた社会的要請に応えて、しなやかに鋭敏に反応し、目的を実現していくことが「コンプライアンス」に通じると考えています。またコンプライアンス意識の欠如がリスク発生につながることも多く、コンプライアンスとリスクは表裏の関係にあります。富士フイルムグループではコンプライアンス推進と事業活動遂行に関連するリスクマネジメントは表裏一体の活動ととらえ、各事業会社の専門部署が総合・一体的に管理し、富士フイルム、富士ゼロックスの両事業会社を中心に、国内外の関係会社を含めてグループ一丸となって推進しています。
さらに、コンプライアンスの中でも最も基本的なものと言える基本的人権の尊重、事業活動の原点と言える労働安全についても、諸法令の順守を徹底しています。
目標
- (1) 重要リスク100%明確化の維持と周知徹底のための施策実施率100%
- (2) 従業員の健康増進機会の提供・確保
- (3) グループにとっての人権課題のリスク認識と対応
<トピックス1>グループ全体で推進する健康経営
健康経営優良法人2017~ホワイト500~に認定
富士フイルムホールディングスは、経済産業省と日本健康会議(*)が共同で実施する「健康経営優良法人2017(大規模法人部門)~ホワイト500~」に認定されました。健康経営優良法人制度は、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業などの法人を顕彰する制度です。初回となる2017年2月には、大規模法人部門(ホワイト500)235法人、中小規模法人部門95法人が認定されました。
富士フイルムグループは、グループが成長し続けるためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康で活躍できる環境づくりが重要と考え、「働き方改革」「健康増進」の両輪で健康経営を進めています。2013年には「健康増進推進協議会」を立ち上げ、各社の人事部、産業医、健康保険組合が三位一体となって、グループ全体の健康経営を推進しています。また、2015年に従業員一人ひとりの定期健康診断結果、ストレスチェックデータなどを多面的に統合する「Health Data Bank」システムを導入し、2017年度には富士フイルム・富士ゼロックスの国内グループ従業員のほぼすべてをカバーできるように進めています。
こうした取り組みは、グループの医療費の増加率抑制や総労働時間の減少などにつながっています。今後は収集したデータをもとに、より効果のある健康増進施策、疾病予防策などへ展開していく予定です。
* 日本健康会議:少子高齢化が急速に進展する日本において、国民一人ひとりの健康寿命延伸と適正な医療について、民間組織が連携し行政の全面的な支援のもと、実効的な活動を行うために組織された活動体
健康増進に向けた主な取り組み
「Health Data Bank」の導入
- データの分析結果を施策の立案に生かすとともに、一人ひとりが健康増進に向けたPDCAサイクルを回せるようにサポートすることを目指す。
- 2017年度には、健康診断結果の経年変化の見える化や、睡眠時間と健康状態の関係性の分析を開始。生活習慣病“予備軍”を洗い出し、サポート強化を狙う。
検診制度の拡充
- 健保のがん検診の受診項目と補助金の充実
- 富士フイルム西麻布内視鏡クリニックの活用を推進
禁煙の推進
- 禁煙外来補助制度の導入
- 就業時間中の禁煙ルールの徹底
健康Web「KenCom」の活用
健康Web「KenCom」
- 個々人が明るく楽しく健康増進に向けて取り組むための情報発信やイベントの開催
<トピックス2>災害時のBCP(業務継続計画)対策
熊本地震での経験を共有し、グループ全体で災害に備える
富士フイルム九州(FFQ)は、2016年の熊本地震によって被災しましたが、富士フイルムグループ各社の支援を受けながら、震災発生からわずか37日で生産ラインを全面復旧しました。富士フイルムは、東日本大震災を契機に災害対策を強化し、大規模地震に備えて災害発生時の体制・システムを整え、訓練・改善を行ってきました。FFQも災害対策に力を入れており、それが熊本地震で大いに役立ったと言えますが、実際の震災を経験して、新たな課題も見つかりました。
富士フイルムでは、こうした貴重な経験をグループ全体で共有し今後に生かすために、震災時に行った災害対策活動のポイントや課題、BCP(事業継続計画)などについて、FFQ担当者が各地で講演を行いました。工場やグループ会社など、約670名が聴講しています。また神奈川工場、富士宮工場、吉田事業所などでは、FFQが熊本地震で得た教訓を取り入れた防災訓練も実施しました。
世界各地での自然災害、テロ攻撃などの社会的背景を踏まえ、企業におけるBCP対策の重要性はますます高まっています。富士フイルムグループでは、今後も熊本地震での経験と課題を踏まえ、ソフト・ハード両面からのBCP対策を推し進めていきます。
災害対策本部が情報をまとめた大型のボードを作成するなど、熊本地震の教訓を取り入れた防災訓練を複数工場で実施。防災マニュアルの改定なども進められている
〈富士フイルム九州〉災害からの復旧におけるポイント
①減災活動
災害緊急対応チームの設置と訓練、災害対策本部と防災倉庫の建物外設置、およびそれらを基点とした訓練の実施など、災害発生前に取り組む減災活動が行われていたことで、被害を最小限に抑えることができた。
②災害対策活動(インフラの復旧)
情報発信システムの活用を含む迅速な情報収集(安否確認システム「e-革新」や災害ウェブサイトの活用)、およびグループ各社や地元企業の協力による迅速な後方支援が行われたこと。
③生産復旧活動
プロジェクトチームを立ち上げ、富士フイルムグループ災害対策本部と密に情報共有、関係事業部と連携し、グループで総力を挙げての設備復旧支援活動を実施。また従業員本人が被災する中、多くの従業員が出社し、工場復旧に向けて尽力したことも大きい。
<トピックス3>ハラスメント防止のための研修
女性向けセクハラ防止教育(eラーニング)を実施
具体例を交えてわかりやすく展開される受講内容
職場におけるハラスメントは、従業員のモチベーション低下など、働く環境の悪化につながり、企業にとって深刻な問題です。富士フイルムでは、コンプライアンス・ヘルプラインの設置や、ハラスメント防止をテーマにしたコンプライアンス教育などを継続して行っています。2016年度は新たな試みとして、女性向けセクハラ防止教育(eラーニング)を実施しました。セクハラ被害者の80%以上は女性であるという状況を踏まえ、女性の側から「セクハラをさせない」ようにするための対策を学んでもらうことがその目的です。
ハラスメントが起こる理由の一つとして、加害者と被害者の意識に“ズレ”があるという点があります。ハラスメントを未然に防ぐためには社員間のコミュニケーションの向上も重要であり、そのために役立つのが、自分と相手を大切にする表現技法を意味する「アサーション(assertion)」というコミュニケーションスキルです。今回のeラーニングでは、クイズ形式などにより、どのような言動がセクハラに当たるのかを具体的に学習し、セクハラについての理解を深めてもらうとともに、女性の側からできるセクハラ防止のヒントとして、セクハラを防ぐ考え方やアサーションスキルを使ったコミュニケーションのポイントを紹介しています。希望する一部の男性従業員にも受講してもらったところ、男性にとっても気付きの多い内容であると大変好評でした。
富士フイルムは、コンプライアンス意識の浸透の確認、およびコンプライアンス課題の抽出を目的に、国内の全従業員を対象とした意識調査を定期的に行っています。今後もオープン、フェア、クリアな職場環境を目指し、社員の声や社会的な背景を踏まえたコンプライアンス意識浸透のための施策を実施していきます。
※このページはサステナビリティレポート2017の記事内容です。