【重点課題2】多様な人材の育成と活用
※このページはサステナビリティレポート2018の記事内容です。
目標と主な成果
2030年目標
多様な従業員が活躍できるための仕組み・職場作り
変化が激しい事業環境の中で、常に成長事業を創出・育成し、グローバルな展開を加速していくためには、それを支える人材の育成と多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境づくりが重要です。富士フイルムグループは、社会の変化に対応し、自らイノベーションを起こすことのできるグローバルな人材の育成を推進するため、グループ全体を通したワールドワイドな視点での人材の発掘、育成、登用できる仕組みづくり、研修を行っています。また、性別、国籍、障がい、年齢等の違いを生かし、多様な社員一人ひとりが能力を発揮できる組織風土の醸成に取り組んでいます。
2017年度の活動
【目標】主要ポジションにおける外国人比率の向上
- ワールドワイドな人材の最適配置・活用を目指し、欧州・北米・中国・アジアパシフィックの人事担当者との連携・議論を強化(富士フイルム)
- 海外関連会社のローカル人材を日本に招き育成するプログラムで、2017年度は5名を受け入れ(富士ゼロックス)
【目標】女性役職者比率のさらなる向上
- 女性管理職数⇒2011年の3.4%から2017年度は7.5%まで増加(富士ゼロックス)
【目標】法定以上の障がい者雇用の維持
- 2018年6月時点の障がい者雇用率2.3%(FHを事業主とするグループ算定特例による)
【目標】介護離職率、出産・育児離職率ゼロの実現
- 育児・介護向け在宅勤務制度の利用拡大⇒2.7倍(2014年度実績との比較)(富士ゼロックス)
- 富士フイルムに加えて富士ゼロックスで「時間単位有給休暇制度」を導入(2018年4月)
- 育児休職明けの社員とその上長に対して円滑な復職を促進・啓発するためのセミナーを開催(富士フイルム)
- 介護離職防止に向けた専門家によるセミナーの開催と、介護相談窓口の拡充(富士フイルム)
【その他の主な活動】
- 世界各地の技術者が一堂に集結する「グローバル高度専門技術者会議」を初開催(富士フイルム)
- 若手社員を対象とした公募型の次世代リーダー育成プログラムをスタート(2018年1月)(富士ゼロックス)
- FX東京が平成29年度「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」優秀賞
今後の活動&目標
- コンプライアンス強化、マネジメント力強化、お客様の経営課題達成につながる問題・課題解決力の強化、グローバル対応力を重点にした人材育成
- 生産性の高い、多様な働き方を実現するためにWork Style Innovationのさらなる浸透と加速(富士フイルム)
- 業務効率化の再徹底、従業員の能力を最大限に引き出す勤務環境の実現、労務コンプライアンス強化の再徹底を重点にした働き方改革(富士ゼロックス)
人材育成
富士フイルム
ワールドワイドな人材活用の仕組み構築のために、グローバルな人事担当者会議を実施
富士フイルムは、社員一人ひとりが自己成長に向けて闘う気概をもち、市場価値の高い強みを身につけ、多様な個性を発揮できるプロフェッショナルとなること、そして、上司も部下の育成に真剣勝負で臨む風土の醸成を目指し、新入社員からマネージャー層まで各々の役割強化を狙いとした研修を実施しています。さらに、入社後の節目で強みを伸ばすキャリア支援の研修、リーダー育成を体系的・計画的に行っています。また、R&D、生産、販売マーケティング、スタッフそれぞれの組織・機能で働くために必要な基盤スキルや技術・技能を身につけられる研修を展開しています。
グローバル人材の育成については、「グローバルなスキルとマインドの計画的育成」、「グローバルに勝負できる力の創出」を基本に取り組みを推進しています。日本人社員には海外赴任予定者向けの計画的な事前研修、実地で経験を積む海外派遣型研修など実践的研修を実施。海外の現地法人社員向けには、幹部社員向け研修に加え、『FUJIFILM WAY』を全世界の従業員に浸透させる研修を実施しています。2017年度は、「グローバル高度専門技術者会議」を初めて開催。世界各地の異なる分野の技術者が一堂に会し、グループが持つ技術や課題について議論・交流を図りました。
さらに、優秀な人材がワールドワイドに最適配置・活用されるグロ―バルな人事を目指し、優秀人材を計画的に発掘・育成・登用するための仕組みの構築にも着手。北米・欧州・中国・アジアパシフィックの人事担当者を集めた会議を実施し、具体的な施策を展開中です。
富士ゼロックス
富士ゼロックスでは、変化に対応し、変革を起こすことのできる「自ら考え行動する」人材の育成を目指し、従業員一人ひとりが自りつ(自立、自律)的に能力を伸ばし、成長を実感できるキャリアを形成する能力を開発できるよう、個と組織の強化に取り組んでいます。2017年度は、職種別、階層別の教育を引き続き実施。人材グローバル化の観点では、海外人材の招致と国内人材の海外派遣とを両輪ですすめています。海外大学と連携したインターンシップでは、2017年度はインドから2名の学生を受け入れました。また、海外関連会社のローカル人材を日本に招き、計画的にローテーションし育成するプログラムでは、2017年度は5名を受け入れました。修了生は各国で活躍しています。
国内人材においては、2011年度以降、海外研修プログラムの応募資格を国内販売会社社員にも拡大し、2017年度は富士ゼロックス及び国内販売会社で22名の若手社員を海外へ派遣しました。2018年度も継続し、若手社員を海外へ派遣予定です。また2018年1月、全国の若手社員を対象に公募型の次世代リーダー育成プログラム(28名)をスタートさせました。将来の事業経営者に求められるグローバルリーダーシップの獲得に向けて、マインド醸成や語学力強化はもちろん、社内外のグローバルトップリーダーとの対話セッションなど「経験」の場づくりを強化しています。
ダイバーシティ
富士フイルム
富士フイルムでは、多様な社員一人ひとりが能力を発揮できる会社を目指し、自分の強みを持ち、効率的な働き方で成果を出す風土に変革する活動「Work Style Innovation」を展開しています。具体的には、①働き方の変革、②多様な社員の能力発揮、③支援の充実という3つの柱に沿った活動を継続的に実施することで、相乗効果につながっています。
2017年は働き方変革の分野で、これまでの業務改善による効率化に加えて、ITによる業務の見える化、RPA(ロボットによる業務自動化の取り組み)を活用した業務プロセス改革にも着手し、さらなる効率化を目指して活動を推進しています。捻出した時間を使って自己研鑽や人脈構築、家族とのコミュニケーションの深化につなげ、そこで得たものを仕事に生かすことで、会社も個人も成長できるサイクルを回していきます。支援の充実では、様々なライフステージを迎える社員を対象に労使共催でセミナーやイベントを企画、ライフイベントをスムーズに乗り切るためのサポートを行いました。またダイバーシティの一環として、定年者再雇用に加え、障がい者雇用についても、グループが一体となり、中長期的な目標を掲げて推進しています。今後も各社の障がい者雇用拡大活動を支援するスキームをグループ全体で構築し、職務開拓や定着・マッチングにつなげています。
富士ゼロックス
2015年から「オール富士ゼロックス女性活躍推進者会議」を定期的に開催し、国内の関連・販売会社共通の取り組みを推進
富士ゼロックスは、会社として重視する10の価値「私たちが大切にすること」の一つに「多様性の尊重」を掲げて活動しており、社外からも様々な評価を受けています。
ワークライフバランスと生産性向上の両立を目指して導入した育児・介護向け在宅勤務制度では、利用した社員の90%以上が「満足」との結果が出ており、利用者数は2014年度の129名から2017年度344名(男性:144名、女性:200名)に拡大しています。特に男性利用者は2014年度の4.5倍となりました。また、2018年4月、富士ゼロックス及び国内関連会社に新たに「時間単位有給休暇制度」を導入し、より柔軟な休暇の取得も可能としています。女性活躍に関しては、2017年度は「オール富士ゼロックス女性活躍推進者会議」において、時間短縮勤務者の業績評価や働きやすさに関する問題が提起され、これに対する施策として「育児両立支援マネージャー向けガイド」が発行されました。このガイドは妊娠・出産・育児の各フェーズにおけるコミュニケーション・制度・評価について体系的にまとめてあり、特に「業績評価」に関して、短縮時間を考慮した適切な目標設定ガイドを明記するなど、時間短縮勤務中も成果をフェアに評価することで育児との両立支援を目指しています。障がい者雇用については、積極的な採用活動や職場での理解促進を行い、富士ゼロックス単独では年間を通じて法定雇用率を達成(2017年度末時点の障がい者雇用率2.18%)、国内関連・販売会社合計で2017年度末に法定雇用率を満たしていた会社は、報告義務のある45社中32社となりました。2018年度からは富士フイルムホールディングスを事業主とするグループ算定特例の下、引き続き雇用率向上への取り組みを進めていきます。
トピックス
働き方変革の社内調査
(「Work Style Innovation」の活動を振り返る従業員アンケートを実施)
富士フイルムでは、2014年10月にスタートした「Work Style Innovation(WSI)」の活動を振り返り、今後に生かしていくために、①WSI全般、②働き方の変革、③多様な社員の能力発揮、④支援の充実をテーマに、従業員へのアンケートを実施しました。その結果、WSIの主旨や必要性については着実に浸透し、本人や職場の働き方の意識も変わってきており、ワークライフバランスが取れていると答える人が以前より増加しています。その一方で、意識が変わったと思う人が8割いるのに対して、実際の働き方が変わったと思う人は7割前後と、意識と実践の実態のギャップが今後の課題として浮かび上がりました。富士フイルムでは今後もこうしたアンケートを定期的に行い、従業員の声をさらなるWSIの活動に反映させていきます。
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