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【重点課題1】気候変動への対応

 

※このページはサステナビリティレポート2018の記事内容です。

目標と主な成果

2030年目標

富士フイルムグループは、パリ協定が目指す脱炭素社会実現に向け、新目標を設定しました。製品のライフサイクル全体(原材料の「調達」、製品の「製造」、「輸送」、「使用」、「廃棄」)でのCO2排出削減とともに、製品・サービスの提供を通じた社会でのCO2排出削減への貢献も進めていきます。また「製造」では、省エネ推進・エネルギー利用効率最大化に加え、再生可能エネルギーの導入・活用も含めたエネルギー源の低炭素化にも注力していきます。

製品ライフサイクル全体でのCO2排出量の推移

[図]製品ライフサイクル全体でのCO2排出量の推移

CO2排出量と貢献量の概念図

[図]CO2排出量と貢献量の概念図

* 2030年度には「富士フイルムグループがライフサイクル全体で排出するCO2の累積量」と同等レベルの「社会でのCO2削減への貢献」を目指す

2017年度の活動

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  • 生産工場での省エネルギー施策の普及・拡大
    (自家発電の台数制御による高効率運用、冷凍機、空調機の統廃合によるエネルギーロス削減、LED照明やインバータ装置の導入によるエネルギー削減)
  • 2030年度CO2排出削減目標が「SBT(*)イニシアチブ」の認定を取得
  • 環境配慮製品認定制度の構築
  • 省エネ効果が高い磁気テープが「ビッグデータ・IoT時代を支える総ユーザーコストに優れた大容量データテープ」として第7回ものづくり日本大賞「内閣総理大臣賞」(主催:経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省)を受賞(富士フイルム)
  • 「 低環境負荷・高画質を実現する革新的トナー技術の開発」により第16回グリーン・サステイナブルケミストリー賞環境大臣賞」を受賞(主催:公益社団法人 新化学技術推進協会)(富士ゼロックス)
  • 省エネ再生型機を活用した「次世代型マネージド・プリント・サービス」により平成29年度省エネ大賞経済産業大臣賞(主催:一般財団法人 省エネルギーセンター)を受賞(富士ゼロックス)

* SBT(Science Based Target):CDP、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)、国連グローバル・コンパクトによって設立された国際的な環境イニシアチブ。企業に対して、地球の気温上昇を産業革命前に比べて2℃未満に抑えるための科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出量削減目標を設定することを推奨している。SBTイニシアチブから承認を取得済みの日本企業は16社(2018年4月現在)

環境側面に関する情報

今後の活動&目標

  • 再生可能エネルギーのさらなる活用(再エネ由来電源の調達、再エネ設備導入)の機会探索、実現
  • 環境配慮製品認定制度による環境配慮製品の創出推進

関連資料・データ:環境側面に関する情報(重点実施項目)

当社グループにおけるCO2排出削減

2017年度、富士フイルムグループの製品ライフサイクル全体のCO2排出量は対前年7%減と大幅に削減しました。2017年度に新たに策定した目標の基準年度である2013年度に対し15%削減と、着実にCO2排出量削減を進めています。ライフサイクルのすべてのステージで削減しましたが、特に「製造」では、事業拡大により増加するエネルギーを全社一体で推進している省エネルギー活動により抑制し、継続的なCO2排出量削減が実現できました。

富士フイルムグループは「エネルギー戦略推進委員会」を中心にグループ横断で、エネルギー利用効率の最大化やエネルギー調達におけるCO2排出削減の追求と、これら施策のグループ内への積極的な展開を図っています。富士フイルム富士宮事業場では、お客様の出荷要請にタイムリーに応え、生産数量が変動する場合でも、常にエネルギーを効率的に使用するため、2016年に新たに小型エネルギー供給設備を導入しました。大型設備と小型設備を生産数量に応じてフレキシブルに稼働させることにより、エネルギーの利用効率を高め、2017年度は対前年度14,000トンのCO2排出量を削減することができました。また、FUJIFILM Hunt Chemicals U.S.A., IncではLED照明への転換などの施策により、製品あたりのエネルギー使用量を18%削減し、CO2排出の削減を図りました。ほかにも、日本、欧州、米国、東南アジアの計10カ所以上の事業場でLED照明への転換を進めました。

今後は、2030年目標の達成に向け、さらなる省エネルギーへの取り組みに加え、再生可能エネルギー由来のエネルギー調達や再生可能エネルギー設備の導入を推進・強化していきます。海外では既に、2016年度にオランダ工場での使用電力の100%再生可能エネルギー化を達成していますが、さらに2020年にはベルギーの2工場でも協働で100%再生可能エネルギー由来の電力で操業する予定です。引き続き富士フイルムグループ一体となってCO2排出量削減に取り組み、気候変動の抑制に貢献していきます。

なお、この2030年に向けたCO2排出削減に関する取り組みは、「We Mean Business(*)」の「気候変動対策への責任ある関与」にもコミットするとともに、気候変動イニシアチブ「SBT(Science Based Target)」でも認定を受けるなど国際的にも認められています。

* We Mean Business:企業や投資家の温暖化対策を推進している国際機関やシンクタンク、NGO等が運営している環境プラットフォーム

CO2排出量(Scope1,2,3)、「GHGスコープ3基準」での富士フイルムグループ 2017年度実績

[図]CO2排出量(Scope1,2,3)、「GHGスコープ3基準」での富士フイルムグループ 2017年度実績

富士フイルムグループの2017年度の実績

[図]富士フイルムグループの2017年度の実績

* 排出権行使分を使用と廃棄に配分

社会でのCO2排出削減への貢献

富士フイルムグループは、「製品の環境配慮設計」の社内規則やガイドラインに基づき、製品・サービスによる環境影響の低減とCO2排出削減貢献量の算定を進めています。「2030年度までに5,000万トンのCO2排出削減に貢献(2017年度からの累積貢献量)」目標に対し、2017年度は高容量磁気テープ(アーカイブデータ保存での省エネ)、複合機(商品・ソリューション提供)、医療ITシステムなどでCO2排出削減への貢献を図り、貢献量は463万トンとなりました。対2030年度目標は9%で、順調なスタートを切りました。なお、磁気テープは低消費電力・低コストで急増するデータ保存に大きな貢献をすることが評価され、第7回ものづくり日本大賞(内閣総理大臣賞)も受賞しました。

複合機・複写機は、すべての新機種にハードウエア・ソフトウエア両面から省エネルギー技術導入を図り、旧機種との交換によるお客様の使用電力量の削減を進めています。2017年度は「低環境負荷・高画質を実現する革新的トナー技術の開発」により第16回グリーン・サステイナブルケミストリー賞環境大臣賞」を、省エネ再生型機を活用した「次世代型マネージド・プリント・サービス」により省エネ大賞経済産業大臣賞を受賞しました。最適プリント環境を提供する統合管理サービスと再生型機活用を融合し、省エネ・省資源・生産性向上の実現への貢献を図っていきます。

CO2排出削減取り組みの一つであるカーボン・オフセットに関しても、これまでの化粧品に加え、印刷材料の「完全無処理CTPプレート」でも開始しました。富士フイルムグループは、多様な施策を組み合せて、総合的にCO2排出削減に取り組んでいきます。

また、2017年度は、環境配慮製品をお客さまによりご理解いただくとともに、自らの環境配慮製品開発を加速するため、富士フイルムグループ「環境配慮製品認定制度」の仕組みを新しく構築しました。2018年度より運用を開始し、環境配慮製品の創出・開示を推進していきます。

環境配慮設計の経緯

[図]環境配慮設計の経緯

*1 JAMP:アーティクルマネジメント推進協議会

*2 ABS:遺伝資源へのアクセスとその利用から得られる利益配分(Access and Benefit-Sharing)

*3 chemSHERPA:製品含有化学物質の情報伝達共通スキーム

トピックス

お客さま先での省エネ活動
(次世代型の省エネビジネスモデルが評価され「省エネ大賞」受賞)

富士ゼロックスの提供する「省エネ再生型機を活用した次世代型マネージド・プリント・サービス(MPS)」は、平成29年度省エネ大賞 製品・ビジネス部門で最高賞の「経済産業大臣賞」を受賞しました。省エネ大賞は、事業者や事業場等において実施した他者の模範となる優れた省エネの取り組みや、省エネルギー性に優れた製品並びにビジネスモデルを表彰するもので、富士ゼロックスの経済産業大臣賞受賞は2回目です。

次世代型MPSは、最適なプリント環境を提供するオフィス機器の統合管理ビジネスと再生型機ビジネスを統合・進化させ、省エネ・省資源・生産性向上を実現する新しいビジネスモデルです。コピーやプリントアウトの使用実態(枚数、頻度、消費電力量等)を専門スタッフが分析し、複合機やプリンターなどの出力デバイスごとの稼働状況を可視化して、設置機器や配置を見直し、出力デバイスの最適配置の提案を行います。さらに、使用実態データに加えてアンケートや業務プロセス調査も踏まえ、紙ベースで実施していた業務の電子化等プロセス改善による用紙削減、生産性向上の改善提案も実施します。加えて、使用済み製品を新品同等の品質基準を満たすようリユースした再生型機を活用することで、エコ効果(新規資源使用抑制)を拡大させました。

本サービスの提供により、2015/2016年度の2年間で出力機器台数を平均23%削減、8.1億枚の用紙を削減、CO2排出量を10,040トン-CO2削減(原油換算で約5,170kL削減)、また提供機器のうち再生型機の導入率は40%を超えました。富士ゼロックスは今後もこのモデルをグローバルに展開することで、オフィスにおけるさらなる省エネ活動を推進していきます。

「次世代型マネージド・プリント・サービス」のイメージ図

業界と共に取り組むCO2排出削減
(印刷業界顧客と行うカーボン・オフセットによるCO2排出量削減活動)

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富士フイルムは、印刷の製版工程で自動現像機・薬品を不要とし環境負荷を大幅に低減するオフセット印刷用刷版材料「完全無処理サーマルCTPプレート」を対象にカーボン・オフセット(*)を2018年4月より開始しました。同時に、印刷関連機材などを販売する富士フイルムグローバルグラフィックシステムズが、このCTPプレートを購入していただいた印刷会社と取り組むCO2排出量削減活動「グリーン・グラフィック・プロジェクト」(GGP)をスタートしました。

GGPでは、富士フイルムが開発途上国のCO2排出削減プロジェクトを支援して得られたCO2排出権を使って「完全無処理サーマルCTPプレート」のライフサイクル全体で排出するCO2排出量をゼロにするカーボン・オフセットを実施しています。これにより、本製品を購入・使用した印刷会社は、自社の印刷物の製作工程で発生するCO2排出量の一部をゼロにでき、さらに「GGP」マークの使用などによりCSR活動として対外的なアピールも可能です。また、間接的に開発途上国のクリーンエネルギーや雇用の創出、インフラ整備などの貢献にもなっています。

富士フイルムはこれまでも、印刷用刷版材料のアルミニウムを再利用するクローズドループリサイクル「PLATE to PLATEシステム」の構築など、印刷業界における環境貢献活動をリードしてきました。今後も「GGP」を通じて、カーボン・オフセットを利用した完全無処理サーマルCTPプレートの普及を図り、印刷業界のさらなる環境負荷削減に貢献していきます。

* カーボン・オフセット:日常生活や経済活動で避けることができないCO2の排出について認識し、できる限り削減努力を行った上で、どうしても減らせなかった分のCO2排出量を、他の場所でのCO2排出削減活動によって得られた削減分で埋め合わせ(オフセット)すること。本取り組みは、経産省が推進する「カーボン・オフセット制度」で認証を取得しています。

完全無処理サーマルCTPプレートのカーボン・オフセットの仕組み

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