【重点課題4】製品・化学物質の安全確保
※このページはサステナビリティレポート2018の記事内容です。
目標と主な成果
2030年目標
- 化学物質による人・環境への悪影響を最小化
富士フイルムグループは、化学品、高機能材料、機器など幅広い製品を製造しているため、「化学物質の取り扱い管理」及び「製品に含まれる化学物質の管理」の2つの側面から、製品の成り立ちに応じた管理規定を策定し、グループ全体で運用管理を行っています。世界各国・地域の法規制動向も的確に把握し、早期に対応準備を開始する体制も構築し、確実かつ効率的な化学物質管理を推進しています。
2017年度の活動
- 規制に先行して特定の化学物質の使用を自主的に制限する管理方針に基づき、使用している化学物質の点検を完了
- 皮膚感作性試験代替法「ADRA」の評価精度を実証
- 新しい化学物質情報伝達の仕組み「chemSHERPA(ケムシェルパ)」の日本での本格的な運用開始
今後の活動&目標
- 管理対象となった化学物質ごとに管理計画を策定し実行
- 「ADRA」のOECD(経済協力開発機構)ガイドライン化
- 「chemSHERPA」のアジア地域の事業場への展開
化学物質管理
現在の化学物質規制のみならず、将来、規制により使用が制限される可能性のある化学物質や、社会的影響が懸念される化学物質に対して、規制に先行して自主的に使用を制限する管理分類を「S区分」としています。該当する化学物質を使用している場合はより安全な代替物質の探索を早期に開始すること、及び新たな製品への使用を制限することが狙いです。
この管理方法は2016年度に日本の事業場から導入しましたが、2017年度は、欧州、米州、中国の各事業場で使用実績のある全化学物質について、S区分に照らした点検を完了しました。今後、S区分に該当した化学物質について管理計画を立案し実行していきます。
化学物質管理のために新設した区分表
安全性評価
富士フイルムは、開発した化学物質や使用する化学物質について、製品の開発初期から製品化に至る各段階で安全性を評価しています。また、動物愛護の観点から、皮膚感作性や腐食性などの試験について、代替法の開発や共同研究への参画に積極的に取り組んでいます。
2017年度は、富士フイルムが独自に開発した皮膚感作性試験代替法「Amino acid Derivative Reactivity Assay(ADRA)」について、バリデーション(妥当性検証)試験により、従来方法より高精度に化学物質の皮膚感作性を評価できることを確認しました。今後は、「ADRA」のOECDテストガイドライン収載を目指します。
富士フイルムグループの動物福祉の取り組み
化学品や医薬品を開発する過程では、人体への安全性や有効性を確かめるため、ときに動物を用いた実験が必要になります。しかし、動物福祉の面から、動物実験は本当に必要なときだけ適切に行うべきものです。富士フイルムグループでは、「動物倫理規則」を定め、適正な動物実験を実施するとともに、動物実験の代替にも積極的に取り組んでいます。
具体的には、「動物倫理規則」に沿って、グループ各社それぞれの動物実験施設で「動物実験に関わる規程」を定め、動物実験委員会を設置して、適正な動物実験を実施しています。また2009年からは、各社の動物実験にかかわるメンバーが定期的に集まり、動物倫理に関して、情報共有や活動の改善を図っています。
当社グループでは3Rsの原則(Replacement:代替法の利用、Reduction:動物利用数の削減、Refinement:苦痛の軽減)を重要視し、今後も動物実験代替法やAIを用いた予測システムの開発・導入を積極的に進めていきます。
製品化学物質管理
お取引先向けに開催した「chemSHERPA」導入の説明会
富士フイルムは、製品の原材料や部品、部材に含まれる化学物質の基準を「富士フイルムグリーン調達基準」として定め、お取引先と協力して製品に含まれる化学物質の適正な管理を進めています。2017年度は、日本で製品の化学物質情報を企業間で授受する新たな仕組み「chemSHERPA(ケムシェルパ)」の導入を完了し、本格的な利用を開始しました。今後は、アジア地域の事業場へ本仕組みを展開します。
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