ページの先頭です



生活:事業を通じた社会課題の解決

 

<事例1> 大容量化を可能にした磁気テープの革新的技術で情報化社会の重要情報をバックアップ

[重点課題1]

[写真]2012年に発売された新世代磁性体バリウムフェライト(BaFe)を使った大容量テープ「LTO Ultrium 6カートリッジ」

2012年に発売された新世代磁性体バリウムフェライト(BaFe)を使った大容量テープ「LTO Ultrium 6カートリッジ」

ネットワーク化・デジタル化が進み、あらゆる情報がデータとして蓄積され、管理しなければならないデータ容量が急速に増加、膨大なデータの管理や保存方法が課題となっています。そこで、改めて注目されているのが、米国・グーグルもバックアップに採用している磁気テープです。データ保存手段としては、すでに過去のもの、記録容量が少ないと思われていた磁気テープですが、富士フイルムが開発した新世代磁性体バリウムフェライト(BaFe)の登場により大容量化を実現。しかも磁気テープは、ハードディスク(HDD)の寿命が数年とされるなか、30年以上の長期保存が可能。コストも安く、環境負荷が少ないなどのメリットがあり、今や貴重なデータを大量に、しかも安全・確実に保存できる媒体として期待されています。

磁気テープに情報を記録するのは、テープ表面の記録層に含まれる磁性体という微粒子です。この磁性体の粒子数が多いほど記録密度を増やせますが、これまで使用されていたメタル磁性体には技術的に限界がありました。富士フイルムはこの限界を早くから予想し、1992年からBaFe磁性体の開発を開始、多くの課題を克服して製品化にいたりました。2014年には、最先端のBaFeテープを用いて、LTOカートリッジ1巻当たりの記録容量が従来の約62倍の154テラバイトの実用化可能性をIBMと実証。磁気テープとしては世界最高のデータ容量を記録・再生でき、今後、実用化に向けてさらなる研究開発を進め、情報化社会の重要情報保存に寄与していきます。

メタル磁性体とBaFe磁性体のサイズ比較

[画像]メタル磁性体とBaFe磁性体のサイズ比較

BaFe磁性体の特徴

  • 高容量化:粒子を微細化できることで、より多くの磁性体を敷き詰めることができるようになり、高容量化を実現
  • 長期保存性:BaFe磁性体は元々酸化物なので、劣化の原因となる酸化が起こらず、30年という長期保存が可能
  • 記録安定性:周波数特性に優れており、記録・再生精度が高いうえ、安定したデータの書き込みが可能

ある企業のメールアーカイブ5年間を想定(消費電力をCO2排出量に換算)

[図]ある企業のメールアーカイブ5年間を想定(消費電力をCO2排出量に換算)

常時通電してディスクを回転させるHDDに比較して、磁気テープメディアは通電の必要性がないため、消費電力が抑えられ、CO2排出量の削減にも貢献できる。
資料:JEITA テープストレージ専門委員会

※このページはサステナビリティレポート2014の記事内容です。


   
ここからフッターです